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紫式部 日記 日本 紀 の 御 局

  • Writer: Rolf Reeves
    Rolf Reeves
  • Sep 22, 2023
  • 14 min read

もっと、深くへ !

『 左衛門の内侍という人は私に悪意を持っていて、いやな陰口をいろいろとひろめている。帝が源氏物語の作者である私のことを、「(こんな風にしっかりした構想で物語を書くなんて)日本紀(日本書紀をはじめとした六国史)を読んでいるに違いない。学識に富んだ人だ」と仰せになった時、 左衛門の内侍という人が 「あの方は、学才をひけらかす方です」と殿上人に吹聴して、私に「日本紀(ぎ)の御局(みつぼね)」というあだなをつけた。笑止千万(しょうしせんばん)なことだ。私は、実家でも学問があるように見られることを慎んでいるのに、公的な場で学識をひけらかすことなんかしないのに。

同じ「紫式部日記」で、「枕草子」の作者で評判の清少納言について、次のように評しています。

ここで、紫式部は自分は決して学才をひけらかさないように努めてふるまっているのだとむきになって主張し、さらに、少女時代は兄弟よりずっと賢くて、父親は自分が男児でないことを嘆いていたという回想談に及ぶ。しかし、自分は「一(いち)」でさえまともに書けないかのようによそおって、いつも謙虚で控えめにふるまっていると言っているのですが、ここまで言うと少し嫌味になってくるのでは…。そう言わずにはいられないのは、漢籍に通じていて評判の清少納言への対抗心からではないかと言われています。

清少納言は漢籍に通じていることを鼻にかけているが、まだ未熟なところがあると強く批判しているのは清少納言を強く意識しているからではないか。自分は清少納言などより学識があるのに、決してそれをひけらかしたり鼻にかけるようなことはするまいと慎んでいるのに、同じ類のように「左衛門の内侍という人」から言いふらされて怒っていると考えられます。 清少納言を意識していたのは、別の見方をすると、清少納言を自分のライバルになりうる才能の持ち主であると評価していたからともいえる でしょう。

1000年以上前の、世界史的にも稀(まれ)な才女の、自負心や心ない評判に深く傷つき、不愉快に思い、怒っているさまが現代の私たちにもリアルに伝わってきます。また、学才に富み、帝からも褒められるほど評判高い紫式部に嫉妬して陰口を言いふらしたという「左衛門の内侍 」 という人が、今も記録に残っているのもおもしろいですね。

問1 a ざえ 学識(「教養」も)・b てんじょうびと 五位以上の人および六位の蔵人で殿上のにのぼることを許された人(30字。「上達部」の意味も理解しておく。)・d 実家(「 ふるさと 」は、旅先や宮仕え先から自宅のことも言う。あと、 旧都・昔なじみの土地 の意も。)

問2 e 漢籍・f学問(「 ふみ 」は文・書と漢字をあてる。文字・手紙・歌・漢籍・学問など、 文字にかかわるものやことの意味 で使われ、文脈で特定できる。)

問3 類推の副助詞で、「~でさえ」とい現代語に相当する。

問6 自分の身内の式部丞という人(作者の弟、あるいは兄のことをそういう言い方をしている。他に「式部丞」は複数いるので、同文冒頭に「この」(私の家の)という言い方をしている。)

問7 私は(自分でも)不思議なほど早く覚えましたので(「 さとく 」は賢く、「遅う読み取り」に対して理解が早いことをいっている。「 侍り 」は 丁寧 の補助動詞。)

問8 左衛門の内侍が、作者が学才をひけらかしていると殿上人に吹聴していることに対して、全く不調法であきれるばかりだという評言。 レビュー 「楊貴妃=長恨歌(白氏文集)」~ 中華と日本、美女の描き方 は こちら へ

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紫式部 日記 日本 紀 の 御 局

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『 紫式部日記 ( むらさきしきぶにっき ) 』 より 日本紀 ( にほんぎ ) の 御局 ( みつぼね )

内裏 ( うち ) の上の、源氏の物語、人に読ませたまひつつきこしめしけるに、 「この人は、日本紀をこそ読みたるべけれ。まことに 才 ( ざえ ) あるべし。」 とのたまはせけるを、ふと推し量りに、 「いみじうなむ才がある。」 と 殿上人 ( てんじやうびと ) などに言ひ散らして、日本紀の御局とぞつけたりける、いとをかしくぞはべる。このふるさとの女の前にてだにつつみはべるものを、さる所にて才さかし出ではべらむよ。

この式部の 丞 ( じよう ) といふ人の、童にて 書 ( ふみ ) 読みはべりしとき、聞き習ひつつ、かの人は遅う読み取り、忘るるところをも、あやしきまでぞさとくはべりしかば、書に心入れたる親は、 「口惜しう、 男子 ( をのこご ) にて持たらぬこそ、幸ひなかりけれ。」 とぞ、常に嘆かれはべりし。

それを、 「男だに、才がりぬる人は、いかにぞや。華やかならずのみはべるめるよ。」 と、やうやう人の言ふも聞き留めて後、一といふ文字をだに書きわたしはべらず、いと手づつにあさましくはべり。 読みし書などいひけんもの、目にもとどめずなりてはべりしに、いよいよ、かかること聞きはべりしかば、いかに人も伝へ聞きて憎むらむと、恥づかしさに、 御屛風 ( みびやうぶ ) の 上 ( かみ ) に書きたることをだに読まぬ顔をしはべりしを、宮の、 御前 ( おまへ ) にて、 文集 ( もんじふ ) のところどころ読ませたまひなどして、さるさまのこと知ろしめさまほしげに 思 ( おぼ ) いたりしかば、いと忍びて、人の 候 ( さぶら ) はぬものの 隙々 ( ひまひま ) に、をととしの夏ごろより、 楽府 ( がふ ) といふ書二巻をぞ、しどけなながら教えたてきこえさせてはべる、隠しはべり。 宮も忍びさせたまひしかど、殿も内裏も 気色 ( けしき ) を知らせたまひて、御書どもをめでたう書かせたまひてぞ、殿は 奉 ( たてまつ ) らせたまふ。まことにかう読ませたまひなどすること、はた、かのもの言ひの内侍は、え聞かざるべし。知りたらば、いかにそしりはべらむものと、すべて世の中ことわざしげく憂きものにはべりけり。

現代語訳

左衛門 ( さいも ) の 内侍 ( ないし ) という人がいます。妙になんとなく(私のことを)快くなく思っていたのも、知ることが出来ませんでしたが、嫌な陰口が、たくさん聞こえてきました。

一条天皇が、源氏物語を、(お付きの)人に読ませなさってお聞きになっていたときに、(天皇が) 「この人(=源氏物語の作者・紫式部)は、『日本書紀』を読んだのだろう。本当に学才があるようだ。」 とおっしゃったのを、(小耳に挟んだ左衛門の内侍は)ふと当て推量で、 「(紫式部は)たいそう学才がある。」 と殿上人などに言いふらして、(紫式部のことを)日本紀の御局とあだ名を付けたということが、たいそう馬鹿馬鹿しいことです。私の実家の侍女の前ですら(漢文の学才を)包み隠していますのに、そのようなところで学才をひけらかしたりしませんよ。

実家の式部の丞という人(=紫式部の兄弟・ 藤原惟規 ( ふじわらののぶのり ) )が、子どもの頃、漢文を読んでいたとき、(私もそばで)聞き習っていて、その人(=式部の丞)は読み取りが遅く、忘れるところも、(私は)不思議なほど理解が早くございましたので、漢文に熱心だった親は、 「残念だ、(紫式部が)男の子でないことは、実に運が無かったなあ。」 と、いつも嘆いていらっしゃったよ。

それなのに、 「男ですら、才能があるようにひけらかしている人は、どうだろうか。出世して栄えることはないだけのようですよ。」 と、次第に人の言うことを聞き留めてからは、「一」という漢字さえ書ききることもしていませんし、たいそう不器用で呆れることです。 以前読んだ漢文などといったものは、目にも留めなくなりましたのに、ますます、このようなことを聞きましたので、どんなにか人々は伝え聞いて(私のことを)憎らしく思っているだろうと、恥ずかしさに、御屏風の上に書いてあることさえ読まないふりをしていましたのに、中宮さまが、御前で、文集(=白居易の『白氏文集』)のところどころを(私に)読ませなさるなどして、(天皇が)そういう(=漢詩の)ことをお知りになりたそうにお思いになっていたので、(私は)たいそう人目を忍んで、(他の)人がお仕えしていない合間に、一昨年の夏頃から、『 楽府 ( がふ ) 』という漢文の本二巻を、大雑把ながらお教え申し上げていますが、隠しています。 中宮さまも人目を忍んでいらっしゃいましたが、殿(=藤原道長)も天皇もその様子をお知りになって、(殿が書道家に)漢籍などをすばらしくお書かせになって、殿が(中宮さまに)差し上げなさる。本当にこのように(中宮さまが私に漢文を)読ませなさるなどとは、おそらく、あの口の軽い(左衛門の)内侍は、聞くことができないだろう。もし知ったならば、どんなに悪口を言うものだろうかと、すべて世の中のことは煩わしくつまらないものですね。

平安時代の漢文

平安時代には、漢字を「真名・男文字」、ひらがなを「仮名・女文字」と呼んでいた。 男性にとっては、漢文の勉強が必須だった のだ。 ところが、紫式部の兄・式部の丞は漢文が苦手だった。いっぽう、そばで聞いていた紫式部はそれをすらすらと覚えてしまった。父親としては、式部の丞にこそ漢文を覚えて欲しかったのだが……。残念。

紫式部日記の他の部分も読んでみて欲しいのですが、紫式部は実に「陰キャ」です。意図的に嫌な感じに要約してみます。

 
 
 

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