手術 室 清掃
- Rolf Reeves
- Oct 30, 2023
- 7 min read
今からでも始められる手術室でのCOVID-19対策
日本では、2022年1月16日時点で187万1980人(全人口の約1.5%)がCOVID-19と診断されています 1) 。重症化や死亡する患者は以前に比べて減ってはいますが、2020年6月以降に診断された患者さんのうち、約1.6%が重症化(死亡症例を含むICUでの治療や人工呼吸器による治療を受けた症例)し、約1.0%が死亡しています。年代別に見ると、50代以下では0.3%、60歳代以上では8.5%が重症化しています 2) 。このデータからも、高齢者が重症化しやすいことがわかります。その他には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性腎臓病、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、喫煙などの基礎疾患の既往がある場合や、妊娠後期の妊婦がハイリスクとされています。

3.COVID対策の対象患者さん
①最近の37.5℃以上の発熱 ②治まらない全身倦怠感 ③経過中に認められた呼吸器症状(呼吸困難・咳嗽・咽頭痛・味覚嗅覚の異常など) ④胸部CTまたはレントゲンで両側陰影を認める ⑤発熱・呼吸器症状に関する情報がない
4.COVID-19に対する感染対策の基本
①飛沫感染
②接触感染
③空気感染(エアロゾル発生による)
5.手術室での実際
1)術前準備
⑤医療機器・手術器材 使用後に洗浄する際の感染リスクを減らすため、器材はできる限りディスポーザブル製品を使用しています。全身麻酔手術の際は、ルームと麻酔器回路の汚染を防ぐため、麻酔器を余剰ガス排出装置に接続し、呼吸回路には人工鼻(高性能疎水性フィルター)を使用しています。 従来の気管内挿管の手技では、声門を直視するために口腔内を覗き込む必要があります。そのため、飛沫およびエアロゾルに曝露する危険があります。そこで、口腔内を覗き込まなくて済むようにビデオ喉頭鏡を使用することにしています。また、ビデオ喉頭鏡を使用することで、エアロゾルを発生させる挿管手技を1度の手技で確実に終えられるようにしています。 当院でも盲点だったのは、カプノメーターが搭載されている生体モニターです。当院では、生体モニターにサンプリングチューブを接続した上で、人工鼻に接続しています。このサンプリングチューブは患者さんの呼気を採取するために、生体モニターの電源が入っている限り、吸引し続けていることがわかりました。当院の人工鼻はフィルター付きのため、人工鼻に接続されている間は大丈夫ですが、挿管前後で患者さんが在室している間に、人工鼻からサンプリングチューブを外していると、エアロゾルが含まれた空気が生体モニターの本体の中に入る可能性があります。そのため、患者さん退室後30分換気した後に人工鼻との接続を外します。 もう一つ注意すべきことは、吸引器です。当院の吸引器は、吸引した空気がキャニスター内部を通過する仕組みになっています。中央配管につながる直前にフィルターがあるため、中央配管には汚染された空気が入っては行きませんが、手術終了後は、キャニスターの外側だけでなく内側も除菌クロスで拭かなくてはなりません。皆さんのご施設の生体モニターや吸引器も今一度構造をご確認ください。
2)患者さん入室
②搬送方法 COVID-19の患者さんが触れた物・場所は接触感染予防のため、すべて除菌クロスで清拭しています。患者さんが手すりや扉などに触れる恐れがあるため、歩行入室はしていません。また、患者さんが触れた物を清拭しないといけないため、搬送に使用した車椅子や病棟ベッドも入室後に手術ルームから出す際に拭かなくてはいけません。しかし、夜間の緊急手術時は当院が待機制であるため、人手が少なく、できるだけ手間を省こうと考えました。そこで、病棟からストレッチャーで入室し、ストレッチャーから手術台に移乗した後は、手術ルームの隅にストレッチャーを置いたまま手術を行い、退室時はそのストレッチャーに移乗して帰室することにしています。 搬送の際の人手も最小限にするように、PPEを装着した病棟看護師1名と外回り看護師1名で入退室の搬送を行っています。
3)麻酔
4)手術
5)手術終了後~退室
②抜管 抜管時の咳嗽はエアロゾル発生のリスクが非常に高いです。そのため、抜管は麻酔科医1名で行います。そして、患者さんが咳嗽したときなどの飛沫を浴びないように、患者さんの胸の上に離被架を立て、45L容量のポリ袋の側面1辺をカットしたものを患者さんの顔に覆いかぶせて抜管をしています。抜管後は、気管内チューブとともにポリ袋も廃棄します。 外回り看護師は抜管時の体動で患さん者が転落しないように、身体を支えます。その際、サージカルマスクを持っておき、抜管後すぐ患者さんにマスクを装着します。そして、マスクを患者さんに装着した後、マスクの上から酸素マスクを付けます。退室の許可が出れば、手術ルーム内に置いていたストレッチャーに患者さんを移乗します。そして、外回り看護師は申し送りを行い、器械出し看護師は病衣などを整えたあと、手術ルームの扉の前(内側)まで搬送します。そこから、PPEを再装着した外回り看護師と病棟看護師にバトンタッチして、2名で病室まで患者さんを搬送します。
6)洗浄・清掃
②清掃 基本的な清掃手順は通常と同じように行います。ただし、COVID-19では、接触感染の危険があるため、ルームの外に出す物はすべて表面を除菌クロスで清拭します。 N95マスクを装着しながらの清掃は息苦しいとの意見があったため、洗浄器械を搬出した後に、30分換気します。空気が清浄化されれば、接触感染対策のみを行い、キャップ、アイシールド、サージカルマスク(換気前に清掃する場合であればN95マスク)、アイソレーションガウン、手袋を装着し、通常通りの清掃を行います。感染性廃棄物はすべてハザードボックスに入れ蓋を閉めて、手術ルームの外へ出す際に、ハザードボックスの外側を拭きます。ハザードボックスには、COVID-19の廃棄物であることがわかるように、外側にマジックで明記し、通常通りに処理します。
手術業務の支援サービス
「OP-TeK®」とは手術業務支援サービスのことです。弊社は、術前準備から、麻酔科関連業務、術中臨時対応、術間・術後清掃に至るまでの一貫した支援サービスを行います。また、病院のニーズに応じて、器械展開のサービスも提供しています。 弊社の支援サービスは、術間の時間短縮を可能にし、手術室の稼働率改善に貢献します。また、看護師の皆様が看護業務に専念していただけるよう、周辺業務を包括的に支援いたします。 「OP-TeK®」に従事する社員には、現場のOJTに加え、実践演習を交えた手術支援業務の基礎概要と倫理行動についての教育を行っています。そのため、手術室業務に関する知識・技術を要した専門スタッフが手術室の運営を幅広く支援することができます。 医師、看護師、コ・メディカルの皆様が安心・安全な手術を患者様に提供できるよう全面的なバックアップを行うことで、手術医療に貢献しています。
サービス開始の背景
サービス内容
術前準備
患者別、術式別、医療材料ピッキング
患者別、術式別、Dr機器設置(配置)
術式別、手術台準備、手術台アクセサリーの準備
滅菌済み器材の展開準備
ガウンテクニックの介助
術中支援
手術環境整備
廃棄物の収集
無影灯、手術台の清拭洗浄
麻酔器、M E機器の清拭
エアー供給装置の取り外し、清拭洗浄
吸引装置の廃棄、交換、接続、作動点検
床の除塵・清拭(術間)
床の除塵・清拭(最終清掃)
麻酔関連
輸液関連・一般清掃関連
業務の流れ
手術終了・患者退室 ↓ ①術前清掃 ↓ ②材料取揃え ↓ ③展開準備 ↓ ④室内準備 ↓ ⑤ガウン介助 ↓ ⑥麻酔器材準備 ↓ ⑦術中臨時搬入 ↓ ⑧術間清掃 ↓ ⑨術後清掃 ↓ ⑩物品補充 ↓ 患者入室・手術 ↓ ⑪術中支援
ポイント
特長
改善(委託後)の効果
「OP-TeK®」サービスにより周辺業務を包括的に委託
手術件数の増加・手術室の稼働率向上
手術間インターバルの時間短縮 105分⇒34分
術前訪問率向上(50%以下⇒99.8%)
看護師の増員無しで残業時間減少
看護教育の時間確保
看護師は看護業務全般に力を入れることができ、臨床業務・患者対応が充実する







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