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二 枚 替え なら 歩 とも せよ

  • Writer: Rolf Reeves
    Rolf Reeves
  • Sep 22, 2023
  • 8 min read

【将棋格言】 二枚替えなら歩ともせよ

大駒は大切にすべき強い駒だが、小駒2枚とならば交換した方が得になりやすい、ということ。 さすがに「大駒1枚と歩2枚」の交換は大駒側の損なので誇張している部分はある。しかし、大駒を大事にしすぎずに、時には大胆に切ってしまうことの重要性を含んでいる。目安として、「大駒1枚と金駒2枚」であれば、ほとんどの場合で大駒側が積極的に交換を狙った方が良い。これが「大駒1枚と銀香」程度になると得になる条件は少し厳しくなる。例えば「大駒が成っていない(飛車か角の状態)」「相手からの大駒による反撃が厳しくはない」「交換によって相手陣が崩れる」「交換後に手番を握っている」「入手した香で駒得が見込める」のようなプラス要素を積み重ねて判断する必要がある。 いずれにしても、単なる駒交換だけで局面が落ち着いてしまうと、渡した大駒で竜や馬を作られてしまい、小駒2枚では釣り合わなくなる恐れが高まる。自分の攻めが見込めない場合は、二枚替えであっても、簡単に大駒を渡さない方が無難である。

【参考:駒の標準価値】竜1000馬900 飛車750角650 金500銀450 桂馬300香車250 歩100 ※駒の価値は局面に応じて大きく変わるので、単純な加減だけで駒の損得を正確に判断することはできない。

「二枚替えなら歩ともせよ」の例

上の <図1> は、先手の竜と馬で、後手の美濃囲いの金を狙っている部分図。ここは「二枚替えなら歩ともせよ」で▲6一馬と切り、△同銀 ▲同竜と迫るのが良い(下の <図2> )。

上の <図2> では美濃囲いが崩壊しており、次に▲6二竜・▲7二銀・▲7一銀・▲7二金のいずれも厳しい(厳しさの順番は他の条件によって変わる)。後手の持ち駒に金がなければ、ほぼ寄り筋である。尚、<図1> において、角を渡した方が先手玉が危なくなる場合は先に▲6一竜と切る手もある。

上の <図3> は、△3二銀と竜馬両取りに打たれた部分図。仕方ないので、ここから▲同馬 △同歩 ▲同竜と進めたとする(下の <図4> )。

上の <図4> では「角と銀歩」の二枚替えになっている。しかし、後手に手番があるうえに美濃囲いが健在なので、先手に主張がなく、駒損のマイナスを補うことができていない。よって、<図3> の段階では既に先手が悪く、「うっかり大駒を消されてしまった」という状況だと言える。

上の <図5> は、2020年11月7日から8日にかけて行われた第33期竜王戦七番勝負 第3局 豊島将之 竜王 vs 羽生善治 九段の対局において、後手が9筋の突き捨てを入れた後、50手目に△9五同香と応じた変化図(本譜は△4四角)。9筋だけを見ると田楽刺しの状態となっており、ここから角を助けようとすると▲8六角には△9九香成、▲8八角には△9八歩があるので、先手は香損を避けることができない。よって、<図5> からは「二枚替えなら歩ともせよ」で▲6四角と切るのが良く、飛車取りなので△同歩だが、▲9五香と香を取れば、「角と銀香」の二枚替えである。あとは後手が居玉のうえに薄くなっていること、角1枚を渡しても先手玉は安全であること、銀も香も使い道が複数あること、▲6六飛~▲6四飛の活用も見えてくること、などを踏まえると、わずかな駒損を大きく上回る要素になるため、先手優勢となる。

将棋の格言 に

二枚換えは歩ともせよ (にまいがえはふともせよ) / 二枚換えなら歩とでもせよ (にまいがえならふとでもせよ) 二枚替えとは、自分の大駒1枚と相手の小駒2枚(または大駒と小駒1枚ずつ)の交換を行うことである。例えば、龍馬と飛車の交換はほぼ五分五分であるが、馬1枚と飛車・歩兵2枚の交換ならば駒2枚を獲得したほうが有利である。歩兵1枚の差でも、二枚換えは重要であるということ。大駒を大切にしすぎることを戒めた格言である。 二丁飛車に追われる夢を見た (にちょうびしゃにおわれるゆめをみた) 二丁飛車(二枚飛車)は非常に強力で、夢にでてくるくらい恐ろしいものであること。「鬼より怖い二枚飛車」の俗諺。 入玉に負けなし (にゅうぎょくにまけなし) 入玉(敵陣に玉将が入ること)していれば不敗の体勢になるということ。駒数を確保していれば、持将棋でも不敗となる。

端玉には端歩で (はしぎょくにははしふで) 端にいる玉には、端歩を突いて攻めるのが有効であるということ <33> 。ほかに、「端角には端歩」の格言もある。 初王手目の薬 (はつおうてめのくすり) 初王手はほとんど効果がないという意味。無闇に王手をかけるなという意味もある。なかば地口のようなもので、格言としては意味が薄い <12> 。

飛角の捨てどころ肝要なり (ひかくのすてどころかんようなり) 「飛車角の捨てどころ肝要なり」ともいう。大駒を切るときは、自分の戦力よりも相手の反撃に留意せよということ。 飛車先の歩交換三つの得あり (ひしゃさきのふこうかんみっつのとくあり) 飛車先の歩兵の交換には三つの得があるという格言。一つ目は持ち駒に歩兵が増える事。二つ目は歩兵が居なくなった升目に自分の駒を進められる事。三つ目は飛車先が敵陣に直射している事。 飛車は十字に使え (ひしゃはじゅうじにつかえ) 飛車は縦横に動ける駒なので、十字に使うことでその動きを存分に発揮できるということ。

歩切れの香は角以上(ふぎれのきょうはかくいじょう) 相手が歩切れのとき、持ち駒に持っている香車は角行以上に活躍する場合があるということ。 歩越し銀には歩で受けよ (ふこしぎんにはふでうけよ) 歩の上に攻め出てきた銀に対しては、その筋の歩を突くことによって、それ以上の銀将の進出を防げる上、後に銀バサミの布石にすることもできるので有利ということ。 歩のない将棋は負け将棋 (ふのないしょうぎはまけしょうぎ) 歩兵は最弱の駒ではあるが、攻防ともになくてはならない必要な駒なので、持ち駒に歩兵がないと、いざという時に歩兵が打てず、負けにつながってしまうということ <34> 。北島三郎の楽曲「歩」の歌詞にも採用された。 不利なときは戦線拡大 (ふりなときはせんせんかくだい) 苦しいときは局面を複雑化することが有効である。戦いの範囲を拡げることで、相手がミスを犯しやすくなるということ。(局面が忙しくなると駒損などのマイナスの意味が軽くなり、逆転の詰めろなどがかかりやすくなるため。) 振り飛車には角交換を狙え (ふりびしゃにはかくこうかんをねらえ) 振り飛車(飛車を初期配置から左側へ移動して戦うこと)側の構えは、角打ちの隙ができやすく、また角行によって乱されやすいため、居飛車側は角交換をすれば有利に戦いを進められるということ <35> 。ただし、但し近年の定跡においてはゴキゲン中飛車や角交換型振り飛車などの、積極的に動く振り飛車戦法がプロ間でも普通に指されており(藤井猛は2012年度、第40回将棋大賞で「角交換型四間飛車」で升田幸三賞を受賞している <36> )、また振り飛車から角交換を迫る変化や立石流なども存在するため <27> 、居飛車側が一概に有利とは言えない。 一方で、飛車交換や銀(攻め駒同士)交換は振り飛車側が有利になりやすい。桂交換ならばさらに得であるが、めったに狙えない。

注釈

  1. ^ 棋理に関する考察(松延成雄)の末尾の番外において以下のような考察がある。 「玉の早逃げ八手の得あり」という格言で言うところの「手」とは「手番」の意味と解釈するのが一般的だ。 しかし「一手指南」という言葉からわかるように、「手」には「手段」という意味もある。 この格言で言う「手」も、手段の意味と解釈する方が自然だ。 また「八」という数は、「たくさん」という意味で用いられることもある(八方手を尽くす、八百屋、など)。 そうしてみると、この格言は本来、「玉の早逃げにはたくさんの効用がある」という意味だったのかも知れない。 いずれにしても、伝承過程で意味が誤解され、現在に至るのだろう。

出典

  1. ^ 『日本将棋用語事典』p.80 下段

  2. ^藤井九段と竜王戦 竜王戦中継ブログ(日本将棋連盟)、2015年7月13日(2021年10月31日閲覧)。

  3. ^ ab 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.226

  4. ^ ab 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.244

  5. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.216

  6. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.192

  7. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.252 ただしこの資料では、八手は大げさな表現であるとされている。米長も、一、二手かせげることは確かだと説明している。

  8. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.112

  9. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.16

  10. ^週刊将棋 2004, p. 82.

  11. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.138

  12. ^ abcd 米長

  13. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.64

  14. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.146

  15. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.236

  16. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.130

  17. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.82

  18. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.66

  19. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.164

  20. ^ ab週刊将棋 2004, p. 76.

  21. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.106

  22. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』にて、1990年(平成2年)12月4日に行われた大山康晴対内藤國雄九段の棋譜が紹介されている

  23. ^週刊将棋 2004, p. 116,144.

  24. ^真田圭一、千葉幸生、三枚堂達也、松本佳介、及川拓馬、山本真也、船江恒平、青嶋未来、長岡裕也、伊藤真吾、藤倉勇樹、田中悠一、宮本広志、石田直裕など

  25. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.208

  26. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.316

  27. ^ ab週刊将棋 2004, p. 144.

  28. ^ 塚田・横田

  29. ^羽生善治も認める「長考に好手なし」――将棋・囲碁で1手に5時間かけた棋士の結末(4ページ目)文春オンライン(小島渉)、2019年6月15日(2019年6月18日閲覧)。

  30. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.288

  31. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.166 ただしこの資料では「遠見の角に妙手あり」

  32. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.54

  33. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.268

  34. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.6

  35. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.174

  36. ^ '第40回将棋大賞が決まる!'. 日本将棋連盟. 2014年6月7日 閲覧。

  37. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.184 「馬は自陣に」の解説。

  38. ^ 『勝てる将棋格言36 プロの実戦に学ぶ妙手』p.278。

 
 
 

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