ブレイク スナイダー ビート シート
- Rolf Reeves
- Oct 30, 2023
- 7 min read
きちんと学びたい人のための小説の書き方講座
そう、そのとおりだ。でも、三幕構成だけじゃ充分じゃなかった。だだっ広い海で泳ぐのと同じで、幕と幕の間が広すぎて、途中で迷ってパニックに陥り溺れてしまうのだ。だから迷子にならないよう、途中で目印になるような島が必要だった。その島を与えてくれたのは、ヴィキ・キングの『How to Write a Movie in 21Days(21日間で映画を書く方法)』(いかにも一獲千金的で怪しげなタイトルだが)だった。しかしそれでもまだ〈ミッド・ポイント〉とサブプロットの間には大きな隙間があり、うっかりすると大失敗しかねない恐ろしさがあった。

――『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』
さて、この『SAVE THE CATの法則』は、2010年の日本語版の刊行からすでに10年以上が経過しているのですが、実は売上は年々増加し、今では他の指南書に大差をつけて売上1位だという事実をご存じでしょうか?
本書が多くの方に支持されているのは、他の物語創作本に比べて 圧 倒 的 に わ か り や す く 、 使 え る からです。執筆に必要な知識を提供してくれる本はたくさんありますが、その知識を実際に使えるレベルにまで落とし込んでいる本はなかなかありません。これから紹介する「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」は、まさに 誰 で も 使 え る 物語構成テンプレートとして、世界中で圧倒的な支持を得ているのです。
また、近年本書の売上が増加している要因として、多くの著名なクリエイター(や編集者)が『SAVE THE CATの法則』を創作に役立つオススメ本として紹介していることも挙げられます。
杉田:『ジャンプ』のとある大ヒット作家さんも読んでいると名高い『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』。『ジャンプ』編集部員もみんな読んで勉強しているという、とてもいい本ですね。
――『シークレットバイブル 約束のネバーランド0 MYSTIC CODE』(集英社)より
また「ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」内藤泰弘 先生 & 川崎 宙先生」という記事の中で、内藤泰弘さん(代表作『トライガン』など)が『SAVE THE CATの法則』をオススメしています。
内藤:『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』(ブレイク・スナイダー)という解説本がお勧めです。三幕構成をすごく分かりやすく教えてくれるんです。ただ「こんな考え方もあるんだ」みたいに、軽く読んだ方がいいかも。こういうのは迷った時に参考にする、所々に立っている旗程度に考えておくのがいいです。そうしておくと、漫画を描いていて「もう序盤を過ぎたのに、なかなか事件が起こらないなぁ」とか、感覚的に全体構成に注意できるようになります。
――「ジャンプSQ.若手作家が聞く「マンガの極意!」内藤泰弘 先生 & 川崎 宙先生」
またマンガ投稿サービス「ジャンプルーキー! 」内の編集者ブログでも「少年ジャンプ+」の編集部高橋さんが「【第65回】どうやって勉強すればいい?~映画から学ぼう~」という記事の中で「ストーリーの組み立てかた」の勉強のために映画作品を参考にするとよいこと、そして『SAVE THE CATの法則』がオススメであることを語っています。
世界で最も売れている脚本術といっても過言ではないこの『SAVE THE CATの法則』の最大のウリは、今回紹介する「ブレイク・スナイダー・ビート・シート(BS2)」であることは間違いありませんが、本書の価値はそれだけではありません。他にも
『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』の3つの要点
旅の途中で目印になる道路標識。これがあれば、当てどもなく広い国中(とか執筆中の本)を彷徨わずに進めます。これがあれば、今どこにいるか、いつ終わるのか、そして正しい方向に進んでいるのかすらわからずに、闇雲に進まないで済む! 「SAVE THE CAT!」式ビート・シートは、300〜500ページになるかもしれない目眩がするような執筆作業を、手に負える大きさ、一口サイズに分けてくれるのです。途中にいくつもゴールがあるお陰で、つまらない失敗を犯すことなく、私たちにとって最大の目標にたどりつくことができるのです。そう、読者納得間違いなしの登場人物の変容で迎えるラストページという目標に。
――ジェシカ・ブロディ=著『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』より
では、それぞれの15のビートはいったい物語上どのような目印として機能するのでしょか? それぞれのビートの役割が『「SAVE THE CATの法則」で書ける 物語創作ワークブック』に簡潔にまとめられているので紹介します。
より詳しい解説は『SAVE THE CATの法則』でご確認ください。また『「SAVE THE CATの法則」で書ける 物語創作ワークブック』は、書き込み式のワークブックとなっており、設問に答えていくだけでビートシートが完成するという優れものです。ぜひご活用ください。
『SAVE THE CATの法則』のメソッドを小説用にアレンジし直した『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』という本もあります。こちらを読めば、『SAVE THE CATの法則』のメソッドが小説にも適応可能であることが分かっていただけると思います。
最後にその『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』から、テンプレートを使うことへの否定的な意見に対する反論を紹介して終わりにしましょう。
「SAVE THE CAT!」の法則について説明していると、いつもちょうどここらへんで、あの忌々しいアレについて文句を言い出す人がいるのが、お約束です。
「SAVE THE CAT!」の法則に倣って書くと、方程式で解いたみたいな、公式みたいにありきたりで通り一遍の小説になってしまうのではないか、と心配をする小説家はたくさんいます。
はい、そんな 恐 れ の 芽 は、今のうちにすっぱりと摘んでおきましょう。
私たちが、ある順番で語られる何らかの物語の要素に強く反応してしまうのは、きっと遺伝子の奥深くに潜む何かの力に操られているから。洞窟に壁画を描いた昔から、火を囲んで語り部が話を聞かせた遠い祖先の時代から、同じ要素に反応してきた私たち。「SAVE THE CAT!」の法則というのは、この暗号を特定してシンプルにまとめた、物語を巧みに紡ぐために必要な設計図にすぎません。これがあれば、私たち小説家が何かを書く度にいちいち車輪を再発明するところから始めないで済むのです。車輪は昔から使われているわけだから。
――『SAVE THE CATの法則で売れる小説を書く』より
『SAVE THE CATの法則』はシナリオが書けない人を救う最強の脚本術!
1.オープニング・イメージ(1) 2.テーマの提示(5) 3.セットアップ(1~10) 4.きっかけ(12) 5.悩みのとき(12~25) 6.第一ターニング・ポイント(25) 7.サブプロット(30) 8.お楽しみ(30~55) 9.ミッド・ポイント(55) 10.迫り来る悪い奴ら(55~75) 11.すべてを失って(75) 12.心の暗闇(75~85) 13.第二ターニング・ポイント 14.フィナーレ(85~110) 15.ファイナル・イメージ(110) SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術
【オープニング・イメージ】:物語のイメージや雰囲気を伝えるシーン。
【テーマの提示】:作品のテーマを提示する。(たいていは登場人物の誰かがテーマに関することを口にする)
【セットアップ】:登場人物や舞台などの物語の設定を説明する。
【きっかけ】:物語が動き出すきっかけになるできごとが起こる。
【悩みのとき】:きっかけとなるできごとによって主人公が悩む。
【サブプロット】:メインから少し離れたサブストーリー(キャラクターの恋愛について語られる場合が多い)
【お楽しみ】:作品の売りになる部分(観客が予告などから期待していたもの)を見せる場面。
【ミッド・ポイント】:物語の流れが変わるポイント。
【迫り来る悪い奴ら】:すべて上手くいっていたように見えた主人公に困難が襲いかかる。
【すべてを失って】:主人公が絶不調になる。
【心の暗闇】:夜明け(解決作をみつける)まえの暗いシーン。
【第二ターニング・ポイント】:徹底的に打ちのめされた主人公が最悪の状況から抜け出す解決作を見つける。
【フィナーレ】:物語の中で教訓を学んで成長した主人公が勝利する。
【ファイナル・イメージ】:オープニング・イメージと対になるシーン。オープニングと比べて主人公などがどのように変わったのかを見せる場面。
自分で分析するのがめんどうだという人には『SAVE THE CATの法則』の続編『10のストーリータイプから学ぶ脚本術』がおすすめです。
まとめ
むずかしい言葉をつかわずフランクにシナリオの作り方を教えてくれる『SAVE THE CATの法則 本当に売れる脚本術』は、物語が書けなくて困っている作家志望たちの救世主になるでしょう。
最後に、この本のタイトルにある『SAVE THE CATの法則』とはどういう意味なのかを紹介します。
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