ネグレクト 部屋
- Rolf Reeves
- Oct 30, 2023
- 10 min read
セルフネグレクトとは?4つの原因・心理と、8つの診断項目
年々増加して社会問題となっている孤独死。これが起きた場合の「部屋の匂い」について、多くの人がそれぞれの立場で、下のような疑問を持っているでしょう。 孤独死の部屋の匂いは、どう除去すればいいのか 隣人が孤独死をしたら、引っ.

判断力低下…認知症・精神疾患など
認知症には「若年性」のものもある
経済的困窮…食費・医療費が支払えないなど
栄養バランスをとるにはお金がかかる
医療費がないだけでなく、保険すら未加入ということも
全額自己負担だと、医療費が莫大になる
何はともあれ、ただでさえお金のない人が、お金がある人の3倍の医療費を払うことになるのです。これがこうした方々にとって厳しいことは言うまでもないでしょう。
病院に行かないからさらに悪化し、医療費も高くなる
社会的孤立…家族・友人・地域などと疎遠
これは重度の障害者の方なども同じですが、そもそも自分でできなくても誰かが助けてくれるなら問題ないといえます。「できない」「やらない」ということも確かにリスクがあるのですが、「誰かが助けてくれる」というセーフティネットがあれば、最悪の事態は免れるのです。
だから行政がセーフティネットになろうとしている
セルフネグレクトの心理とは?すべての人が予備軍?
「めんどくさい」が、心理的原因の根本
セルフネグレクトの芽は誰にでもある
経済的不安も心情的な原因の一つ
「もう買えない」と思うと、捨てられない
過度の節約をしてしまう
精神的な問題が一切ないケースもある
一般的には、すべて心理的な問題に帰結する
身体的に問題があって身の回りのことができない場合、普通は「誰かに助けを求める」ものです。それをしないのは「心理的な問題」といえるでしょう(上に書いたような知的障害のケースを除けば)。
高齢者のセルフネグレクトの原因は?実質1位の理由が意外
「覚えていない・きっかけはない」が実質1位
疾病・入院など 24.0% 覚えていない・分からない 21.5% 特段、きっかけはない 15.9% その他 13.9% 家族関係のトラブル 11.3% 身内の死去 11.0% 近隣関係のトラブル 1.9% 無回答 0.5%
「複数のきっかけ」を説明できないなら、それは「分からない」である
合流させると、37.4%で最多になる
なぜ項目を分けたのか
この2つの項目を合流させるかどうかはさておき「曖昧な理由」がトップを占めていることだけは、確かといえるでしょう。そして、明確な理由がない以上、誰がいつなってもおかしくないといえます。
「疾病・入院」も2番目に大きな原因
健康を失うと何もできなくなる
「ご近所が原因」のことはめったにない
ご近所と「一切関わらない」人が多い
理由は、「隣のゴミ屋敷を何とかしてくれ」などの苦情が届きやすいためです。ご近所とトラブルがあれば、このように良くも悪くも「通報される」ので、早期発見につながります。
セルフネグレクトが若者に増加?3つの原因を解説
原因(1)…自己嫌悪・無価値感
「無価値観」ではない
理由は「無価値観」だと「自分の価値観を持たない」という意味にもとることができ、それだとセルフネグレクトの真逆になることが多いためです。自分の価値観がない人は、友達の誘いにも乗りやすく、仕事でも「とりあえずこれをやっておけばいいんでしょ」と、要領よく乗り切れることが多いといえます。
自分やものを過小評価し否定的になる状態。うつ病などで見られる症状の1つ。 「自分は生きるに値しない」「自分は何の役にも立たない」といった自分の能力や健康、財産、境遇などを否定する感情を言います。 うつ病の患者にみられる代表的な症状の1つです。米国精神医学会が定めたDSM-Ⅳでは「大うつ病性障害(大うつ病エピソード)」の診断基準のひとつとして、「ほとんど毎日無価値感が見られる」ことあげています。 Weblio辞書「無価値感」
原因(2)…若者の低所得化
事例の振り返り セルフネグレクト~台本~
・ウォーレンさん。 ・一人暮らし、身寄りなし。 ・生活保護受給、要介護1の認定。 ・エレベーターのない2階建てアパートの2階に在住。自宅内、掃除はしていますが 排泄物などの痕跡でかなり汚れいている状態 。まぁいわゆる汚部屋ってやつ。 ・ 室内は這って移動 したり、やっとこさの 伝い歩き 。 屋外の歩行や階段の昇降はできない ため、 一人での外出は出来ません 。というか、 外出を望まれていません。 ・ 病院に行くことも本人は拒否 されており、要介護認定を更新するときのみ(1~2年に1回程度)、近所の診療所の先生(医師)に家に来てもらっている状況。 ・ 性格は排他的ですが、対応してくれているヘルパーさんのことは受けれいている様子。
こんな感じで、ウォーレンさん自身は生活に満足していたようなのですが…徐々に状態の悪化がみられるようになりました。 で、担当のケアマネさんやヘルパーさんがウォーレンさんに受診を勧めてみます。 『病院には行きません』 『放っておいて欲しい』 『これまでと同じく食事と掃除だけで良い』 …だってサ。 そうこうしている内に、ウォーレンさんの状態は更に悪化していきます。 ケアマネさん、困った困ったとなり、地域包括支援センターに相談しました。 すると地域包括の担当者が、 『もしかしたら、このケースは「セルフネグレクト」となるかも知れない。情報を行政に上げてみます』 …という、困っているケアマネさんからしたら、ホッとする一言がありました。
セルフネグレクト、自己放任と言われるヤツですね。虐待の一種と考えられています。 ケアマネが関わるのが多いのは「高齢者虐待」と呼ばれるヤツです。コレは「高齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」…略して「高齢者虐待防止法」が根拠の一つになっています。
【身体的虐待】 分かり易いのが暴力ですね。
【介護・世話の放棄・放任】 適切な介護をしないとか。
【精神的虐待】 無視する、暴言を浴びせる、なじるなど。
【性的虐待】 わいせつな行為、性的な嫌がらせなど。
【経済的虐待】 勝手に財産を処分する、お金を渡さないとか。
実は【自己放任(セルフネグレクト)】というのは虐待の定義に含まれていません。【自己放任】も「高齢者虐待」に準じた対応をするように…とは言われてはいますけどね。厳密には法律の対象外です。
その後、ケアマネさんは地域包括支援センターや行政からの連絡をヤキモキして待っていたのですが…その間に、福祉事務所のケースワーカーさん…生活保護の担当者ですね。この方がウォーレンさんの自宅を訪問しました。 すると、以前よりも状態が悪くなっているウォーレンさんを前にケースワーカーさん、 「ウォーレンさん、病院に行かないと!!」 と、なりました。 しかし、ウォーレンさんの意志は以前と変わりません。
『病院には行きません』
で、次の日、つまり相談から11日目ですね。保健センターからケアマネさん宛てに連絡がありました。
ってサ。 ちなみに、虐待の可能性について通報があった場合、市町村は早急に「虐待の事実」「緊急性」「当面の対応」「調査の継続」「対応の役割分担」…などを検討するコアメンバー会議というのを開催する仕組みがあるはずなんですけどね。
ウォーレンさんは頑なに拒否の意思表示。
本来は虐待により生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者に対して、緊急的に保護するなど、適切な行政権限を行使しましょう。な~んて言われていますが… 先ほども少し触れましたが、今回のウォーレンさんのような【自己放任(セルフネグレクト)】というのは「高齢者虐待防止法」に定義づけられていないんですね。つまり、行政権限を行使する根拠に乏しい訳ですわ。
例えばこのウォーレンさんが「認知機能が低下している」「適切な判断能力がない」って感じなら、少し話が違ったのかも知れませんが…ソレ(認知機能の低下など)を誰も公的に判断できない訳です。唯一可能性があるのは医師ですが、ウォーレンさんはそもそも医師の診察すら拒否していますからね。
なので、いくら各担当者がワーワー言うてウォーレンさんを説得しようとしても、本人が「否」と言えば…その意に反して何かをするってのは難しいでしょう。身よりもないですしね…もしかしたら「緊急避難」が法的な根拠になるかなぁ?という程度?
「自宅で心肺が停止している」「意識がないが心肺はある」などの状況ごとに各関係者の簡易的な行動表(フローチャート)を作成し、各担当者の前でウォーレンさんにも了承してもらいました。
この8名での自宅訪問の数日後、心肺停止状態のウォーレンさんをヘルパーさんが発見し、行動表にしたがって、「心肺停止状態と思われる」という一言を沿えて救急車を要請。
救急隊が心肺停止であることを確認し、交番の警察官登場。 交番の警察官の後、刑事課の方が登場し「事件性がない」ということで、その後は検視官が登場。検視官の現場検証後、諸々があってウォーレンさんの遺体は警察署へ搬送されることとなりました。
豆知識ですが…ウォーレンさんのように実質主治医がいない場合、生前の診療中の傷病に関連して死亡したという判断が誰もできないため、「死亡診断書」ではなく「死体検案書」という書類になります。まぁ様式は同じですけどね。
ちなみに「死亡診断書」は医師又は歯科医師も作成しうるとなっていますが、「死体検案書」は医師以外は作成しえないとされています。
一つ目のポイントは「関係者との情報共有」です
まず生活保護受給しているってことは、福祉事務所はウォーレンさんの親族情報、戸籍や除籍を把握しているはずです。もしウォーレンさんが逝去した場合は、担当ケースワーカーに任せても良いです。ここはケアマネが関与する必要はないですね。なので、今回のケースでは、ケアマネさんはもう少し前から…もっと言えば、日頃からケースワーカーさんと情報を共有していた方が良かったのかも知れません。
あと、地域包括支援センターに相談して良かった・良かった…ではなくて、今回のケースでは地域包括や行政担当部署から、情報収集などの連絡が2日経ってもないのなら、再度問い合わせをするとか、直接行政の担当部署に「地域包括支援センターに相談したのですがどうなりましたか?」と連絡するのことも必要でしょう。
言いたくないですが、もし地域包括担当者が「そんな話聞いていません」ってなると、ウォーレンさんの死後『ケアマネ何しとったや!!』ってなるかも知れません。まぁないとは思いたいですけどね。今回のケースはかなり以前のケースが基になっているので…今は虐待の疑いによる通報に対して、もう少し迅速に対応してくれると思います。
二つ目のポイントは「本人の意思確認」です。
我々支援者は、基本的に本人の意志に反することは出来ません。「説明と同意」ですね。 まぁ「公共の福祉に反する」「権利の侵害がある」などの場合は、本人の意に反した支援を行うこともあるでしょうが…
今回のウォーレンさんについては、本人の意思に反した支援介入を行う根拠や実効的な手段が乏しかったと思われます。救急車を呼んだとしても、本人が明確に拒否した場合は搬送できませんからね。
なので、このウォーレンさんには悪いですが、支援の中でしつこいくらいに意思確認を行うことになるでしょう。その意思確認も、他の支援者が同席する場面で行うのがなお良いでしょう。まぁ今回のケアマネさんは実際にそうされていたようですけどね。
三つ目のポイントは「耐えること」です。
コレが一番難しい。そりゃ目の前で弱っていく利用者さんを見ていると「何とかしないと!」となるのは分かります。今回のケースワーカーさんがそんな感じでしたね。 ただ、ウォーレンさんのようなケースでは、先ほども言いましたが意に反した支援介入を行う根拠が乏しいんですわ。そりゃ「何か手段はないのか?」と最後まで考え続けることは必要だと思います。でも、やはりケースによっては「どうしようもない…」ってなる場合もあるわけですよ。
でも、「支援者として出来ることはした」「この人の選択はこの人の権利の範疇なのだから尊重しないといけない」などと、支援者はぐっと耐えることも必要じゃないのかな?…と、僕は思います。
はい、今回はここまで。 「事例の振り返り~セルフネグレクトなウォーレンさん~」でした。
毎回言いますが、あくまでも僕の個人的な意見がほとんどです。参考程度にでもなればと思っています。よろしければ色んな意見を教えて頂ければありがたいです。
以上、「社会のいぬ」でした。
ご視聴ありがとうございました。
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では次回!
バイバイ!
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