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馬 夜目

  • Writer: Rolf Reeves
    Rolf Reeves
  • Sep 22, 2023
  • 12 min read

馬の特徴:馬の眼について

真っ正面から見ると、馬はかなり愛嬌のある顔をしています。 なんとなく間が抜けている感は否めません。 正面から見た顔の間が抜けて見える理由の一つに、目の位置が挙げられます。 両眼の間隔は相当ひらいており、ほとんど頭部の真横に目が付いていると言っても良いほどです。 ただし両眼がこのような位置にあることは、彼らが野生で生き抜くためには重要な要素でした。 馬の瞳孔は横長に開いているのですが、その瞳孔の形状と眼球の位置により、馬はパノラマ的に世界を見ることができ、彼らの視野は350度にもおよびます。 この結果、馬は背後から忍び足で近づいてくる敵をいち早く察知し、逃げることができたのです。 しかし欠点もあり、馬は視野の5分の4以上を片方の目だけで見ているため、その部分では視覚による距離の判別が出来ないのです。 これに対し、ネコ科などの肉食獣の両眼は正面を向いているため、彼らの視野は180度、ほぼ全域を両眼視できるのです。 動く獲物を捕らえて生きている彼らにとって、視覚による距離の把握は死活問題なのです。 両眼の位置がこのように生態によって異なっているのは、哺乳動物ばかりではありません。 たとえば鳥類。小動物を捕食して生きているフクロウなどの猛禽類の両眼は正面を向いている場合が多く、またハトやニワトリなど、捕食される危険の大きい鳥類の目は頭部の側面に位置しているのです。

2.ブリンカーの役割

馬は両眼でほぼ350度という非常に広い視野を持っていて、その広い視野の限界に向かって動く物体に対して特に鋭敏な仕組みになっています。 馬の持つ「広い視野」と、「動く物に対する鋭い知覚」は、彼らが野生生活において、自分に対して襲ってくる捕食動物の存在をいち早く察知して逃げるという意味でとても大切でした。 しかし、このような馬特有の視覚が、競走馬としては不都合となる場合もあります。 競馬では、背後から迫ってくる馬群を恐れてどんどん先に行ってしまう馬がいるのです。 こうした馬は結局前半で力を使い切ってしまい、最終的には馬群に飲み込まれてしまいます。 このため、競馬では背後を気にし過ぎる馬や、他馬に並ばれると怯んでしまうような馬に対して「ブリンカー(遮眼革)」を用いて視野を制御し、馬群を気にすることなくレースに集中するようにしています。 馬によっては見違えるような能力を発揮できる場合もあるようです。 競馬で用いられるブリンカーは、馬の顔を覆うマスクの目穴の後ろ側の部分に、半球状のカップが取り付けられたものが標準的で、出走馬がブリンカーを着けている場合は出馬表に明記されています。 それまで凡走していた馬が初めてブリンカーを着けてレースに臨むことも丹念に競馬を追っていれば知ることができ、馬の変わり身を期待することも可能になりますが、その期待も実はオッズに折り込み済みである場合が多いので参考程度にしておきましょう。

3.焦点合わせ

馬は大きな眼をしていて、じっと見つめていると吸い込まれそうな気分にさえなります。 実際、馬の眼球の直径はおよそ4.5cmで人の眼球の2倍の大きさがあり、重さは約100g、陸生動物では最大の部類に属します。 ただし馬の眼球はピンポン球のようなきれいな球形ではなく、やや歪んだ形状をしています。 人間は遠くから近くに視点を転じた場合、光を網膜に投影するレンズの役目をしている水晶体の厚みを対象物の距離に合せて瞬時に変えています。 水晶体の厚みは、その周辺をふち取っている毛様体筋の収縮と弛緩によって柔軟に変化するのですが、年を取ってくると水晶体の弾力性が低下し、思うように焦点が合わせられなくなる場合があります。これがいわゆる「老眼」です。 馬の場合、焦点を合わせる方法が人間とは少し異なります。 馬の水晶体はその眼球同様かなり大きいのですが、毛様体筋の発達は貧弱なため、この筋肉の動きだけでは焦点合わせは不完全と考えられています。 彼らはそれを補うため、上述した眼球の歪みを焦点合わせに利用しているのです。 遠くを見る時にはあごを引き上目使いに、近くを見る時には逆にあごをあげて対象物を注視するという動きをします。 これは、人間でたとえるなら遠近両用のめがねを使っている状態に近いと言えます。

4.残像作用

サラブレッドは時速60km/hで疾走します。 彼らの祖先にあたる野生馬たちも、これほどまでのスピードはなかったにしろ健脚を誇っていました。 角や牙などの武器をもたない馬は、敵に襲われればとりあえず「逃げる」という戦術で身を守ってきたのです。 馬の体の各パーツは速く走るという目的にあわせて作られており、もちろん視覚も例外ではありません。 何かをじっと見つめたあとで、さっと視点を白い壁に転じると、今まで見ていたものがその壁に映し出されているように感じたことがあると思いますが、これは眼の「残像作用」と呼ばれるもので、映画がこの現象を利用しているのはよく知られています。 ふつう映画では1秒間に24コマの画像が次々にスクリーン上に映し出されますが、人間の眼にはそれがスムーズに動いているように見えます。 これは前の画像が残像として眼に残っているうちに次の画像が映し出されるための錯覚といえます。 馬は人に比べ、この「残像作用」の持続時間が短いことが知られています。 もし馬が映画を見たら、馬の眼には点滅する連続写真のようにしか見えていないと考えられます。 残像の持続時間が短いという馬の眼の特徴は、疾走時には有利に働きます。 その時間が短いことで、高速で走っている時でも眼に映る風景は流れてしまわず、常に敵の位置を確認しながら走り続けることが出来るのです。 もっとも、速く移動する能力を持った動物の眼の残像の持続時間は大抵短いとされているので、馬を追う敵もこの点に関しては同じ装備を身につけているといえます。

5.暗視能力

馬は夜行性の動物とは言えませんが、夜目はよく利くようです。 馬産地・日高では夜間も放牧されている馬がいますが、月明かりの下でも、彼らは苦もなく放牧地の中を走ることが出来るのです。 馬が夜目の利く秘密は眼球の構造にあり、瞳孔から入った光は、網膜に像を結び、網膜表面の視細胞を刺激、光の刺激を受けた視細胞はその刺激を電気信号に変え、視神経を通じて脳に送るのです。 もちろん夜など、光が弱ければ視細胞に対する刺激は弱くなり、結果的には見えにくいということになりますが、馬の目の網膜の後ろ側には「タペタム(輝板)」が存在するのです。 タペタムは、網膜で吸収されずに透過した光を反射する役割を持っており、タペタムからの反射光は再び視細胞を刺激するのです。 すなわち馬の視細胞はタペタムがあるために2回、光の刺激を受けるのです。 タペタムはいわば光の増幅装置とも言えるでしょう。 ネコの目が夜中に光っているのを見たことがある人は多いと思います。 馬の目もネコほどではないにしろ、同じように光ります。 これはネコにも馬にも、網膜の後ろに光をよく反射するタペタムが存在するからです。 タペタムがあるのは夜行性の哺乳動物ばかりとは限らず、魚類ではたいていの種類でタペタムが存在します。これは到達する光がどうしても少なくなってしまう水中で活動せざるを得ないからです。

馬の様々な特徴

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馬の『眼』の機能

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 ですが、顔を正面から見ると、なんとなく間が抜けたような、愛嬌のある感じもするものです。 その理由として、馬の両眼の間隔がかなり開いている、ということがあります。
 彼らが野生で生き抜く上では、背後から忍び足で近づいてくる敵をいち早く察知して逃げる必要があり、そのために彼らは、この眼の位置によって350度にもおよぶ視野を持っているというのは、有名な話です。
 それから、よく見ると瞳孔(どうこう)が横長に開いた形になっていて、これも、なんだか笑っているような感じにも見える要因なのですが、この瞳孔の形もやはり、パノラマ的に世界を見ることに役立っているようです。
 視野のほとんどの範囲を片方の目だけで見ていることになるために、逆に両目で正面にある物を立体的に見たり、距離の判別をすることが苦手であると言われているのです。
 よく、馬が人間に怒られたりした時に、すぐ横を向くのも、単眼視の方が見やすいからではないかと考えられています。
 またそういうとき、どちらかというと左眼でこちらを見る馬が多いような気がしますが、これには科学的な裏付けもあるのだそうです。
 馬の脳では、左目からの視覚情報は右脳で処理される仕組みになっているため、否定的な感情を伴うような刺激を感情を司る右脳で処理するために、本能的に左目で見ようとするのではないか、と考えられていです。
 馬の眼球の直径はおよそ4.5cmで人の眼球の2倍の大きさがあり、重さも一つ約100gほどで、陸生動物では最大の部類に属すると言われますが、その形は、きれいな球形ではなく、ややゆがんだ形状をしています。
 私たち人間は、遠くから近くに目を転じた場合、光を網膜に投影するレンズの役目をしている水晶体の厚みを、対象物の距離に合せて瞬時に変えて、ピントを合わせています。
 水晶体の厚みは、その周辺をふちどっている毛様体筋の収縮と弛緩によって柔軟に変化するのですが、年を取ってくると水晶体の弾力性が低下し、見たい物に思うように焦点が合わせられなくなる、いわゆる老眼の状態になります。
 馬の場合、水晶体はその眼球同様、かなり大きいのですが、それに対して毛様体筋の発達は貧弱で、そのために、この筋肉の動きだけではピント調節の能力は不完全で、私たちの老眼に近い状態だと考えられています。
 彼らはそれを補うために、上述した眼球の「ゆがみ」を、焦点合わせに利用しているのです。
 すなわち、遠くを見る時にはあごを引いて上目使いに、近くを見る時には、逆にあごをあげて対象物を注視します。
この感じは、ちょうど遠近両用のめがねを使っている状態に近いといえるでしょう。

 
横を向いて、顎を上げ、目を見開いてこちらを見る馬の姿は、なんとも憎たらしいような感じもしますが、彼らにすれば、こちらのことを良く見ようとしているだけなのかもしれません。 
・「首振り」の理由
 馬と同じように頭の横についた視野の広い眼を持つ、ハトなどの鳥の仲間は、歩くときに前後に激しく首を振ることで知られています。
 この理由は、じつはあまりわかっていならしいのですが、歩く時のバランスを取りやすくするということの他に、首を前後に振ることで、両眼視と同じように複数の視点を確保し、世界を立体的に捉えることに役立ているのだとも言われています。
馬の「首振り」にも、同じような意味があるのかもしれません。
 サラブレッドは、時速60キロで疾走することが出来ます。
 これほどまでのスピードはなかったにしろ、かれらの祖先にあたる野生馬たちも、「とりあえず逃げる」という戦術で身を守ってきた生き物ですから、馬の身体の各パーツは、速く走るという目的にあわせて作られていて、その意味では、もちろん視覚も例外ではありません。
 何かをじっと見つめたあとで、さっと眼を白い壁に転じると、今まで見ていたものがその壁に映し出されているように感じるものです。
 これは眼の「残像作用」と呼ばれるもので、映画がこの現象を利用しているのはよく知られています。
 ふつう映画では、1秒間に24コマの画像が次々にスクリーン上に映しだされる、いわゆるコマ送りなのですが、私たちの眼にはスムーズに動いているように見えます。
 前の画像が「残像」として眼に残っているうちに次の画像が映し出されるため、そのように錯覚するわけです。
 私たち人間に比べると、馬ではこの残像の持続時間が短いということが知られています。
 私たちが観る映画なども、馬の眼には、点滅する連続写真のようにしか見えないのかもしれません。
 残像の持続時間が短い、という馬の眼の特徴は、疾走時に有利に働きます。
 残像が短いことで、高速で走っている時でも、眼に映る風景が流れてしまうことなく、敵や障害物の位置を常に確認しながら走り続けることができるのです。
 レッスンで調子良く走っている馬が、いきなりどうでもいいような小さな紙屑などに驚いて横っ飛びしたりするのも、こうした能力によるものかもしれません。
  ・暗視能力 馬は、夜行性の動物ではありませんが、昔から「夜目」はよく利くと言われています。
 馬産地では、夜間も放牧されている馬がいますが、月明かりの下でも、彼らは苦もなく放牧地の中を走ることができます。
 瞳孔から入った光は、網膜に像を結び、網膜表面の視細胞を刺激します。
 光の刺激を受けた視細胞は、その刺激を電気信号に変え、視神経を通じて脳に送ります。
 夜など、光が弱い時には、視細胞に対する刺激は弱くなり、「見えにくい」ということになります。
 馬の目の網膜の後ろ側には、「タペタム」(輝板)という組織があり、網膜で吸収されずに透過した光を反射する役割を持っています。
 タペタムからの反射光は、再び視細胞を刺激するので、馬の視細胞は、タペタムがあるおかげで、光の刺激を二回受けることになり、結果、光の弱いところでも、「よく見える」ということになります。
 タペタムは、いわば「光刺激増幅装置」ともいえるものなのです。
 ネコの目がよく夜中に光っているのは、網膜の後ろに光をよく反射するタペタムが存在するからです。
 馬の目も、ネコほどではないにしろ、同じように光ることは、馬の写真をよく撮る方なら経験があるのではないかと思います。
 
 
 

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