ヴェリエ
- Rolf Reeves
- Sep 22, 2023
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ヴァレリーにおける詩と芸術
作品を作ることではなく、作品制作を可能にする方法を明らかにしようとするこの試みを、ヴァレリーは「制作学」poïétiqueと呼んだ。「詩学」poétiqueのギリシア語語源poïein (作る) を際立たせた造語である。「詩学」はヴァレリーによって、一篇の詩を書くための規則の集成ではなく、精神がものを作ろうとするとき、そこで実行される複雑な操作を見極めようとする「制作学」となった。重要なのは、ここで言う詩が、芸術のさまざまな現れに共通する、作るという行為という意味に定義し直されたことであり、この視点から、詩に関する考察をそのまま芸術全般──絵画、建築、音楽、舞踏、演劇、写真、映画等々──に関する考察にまで押し広げることができるということである。

(紹介文執筆者: 人文社会系研究科・文学部 教授 塚本 昌則 / 2019)
本の目次
I ヴァレリーとは誰か ポール・ヴァレリー、ある伝記的冒険 (ブノワ・ペータース) ヴァレリーにおける の意味 (恒川邦夫) 苦痛の幾何学と身体の思想 (三浦信孝)
II 詩とエロス――他者という源泉 ヴァレリーとブルトン――思考のエロス (松浦寿輝) ヴァレリーにおける他者関係の希求と「不可能な文学」 (森本淳生) ヴァレリーとルイス――『若きパルク』に秘められた友情 (鳥山定嗣) ヴァレリーとポッジ――エクリチュールの相克 (松田浩則)
III ヴァレリーの芸術論――絵画と経済学 ヴァレリーと二〇世紀初頭の芸術家 (ミシェル・ジャルティ) 大芸術家の肖像――ダ・ヴィンチからドガへ (今井 勉) 絵画のポエジー――ヴァレリー、マルロー、バタイユ (永井敦子) 詩学と経済学――ヴァレリーは芸術を語るのに、なぜ経済学的タームを用いるのか (山田広昭)
IV ヴァレリーと音楽――声とリズム の詩学――芸術照応の源泉としての (田上竜也) リズムと吃音――「異質な機能作用」に出会う体 (伊藤亜紗) ヴァレリーとリズム――ドイツ近代の視座から (宮田眞治)
V ヴァレリーとメディウム ヴァレリーと広告 (ウィリアム・マルクス) のミメーシス――ヴァレリーを読むアドルノ (竹峰義和) 支持体とは何か――ヴァレリーにおけるシミュレーションの詩学 (塚本昌則) 「名前のない島」――ヴァレリーと映画 (ジャン=ルイ・ジャンネル)



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